2020年9月12日土曜日

自粛前・中・後の話(前編)

 大変久方の更新。今更ながら、コロナ禍の緊急事態宣言入り直前の話から、直近の話までボチボチ更新しておこうと思う。まずはコロナ禍直前の話から。


4月4日の土曜日だったろうか。緊急事態宣言がなされることが目に見えていた頃、当時は外岩に行くのも自粛ムードが世に漂っていた(今にして思えば外岩自粛は過剰反応だったように思うが)。そんな中、鳳来へ赴く。今シーズン最後、カイエンを登りに。


カイエンは昨シーズンから触りはじめ、最初は全く可能性を見出せなかったものの、徐々にムーブが完成し、パーツごとにはそこまでの難しさを感じなくなっていた。ただ、問題は繋ぎ。18手ぐらいある課題なので自分にとっては持久力が課題だった。4月4日の直前には品ロキでルーフの水色ナガモノが登れていたこともあって、多少なりとも自信があった。とはいえ、絶対に登れるだろうという確信は特になし。そんな状態で、とりあえず岩場へ向かったわけ。


いつものように20分近くのアプローチを済ませ、カイエンの後半パートや下部をアップがてらにこなしていく。指が十分にあったまったところで、繋ぎトライ開始。確か2便目くらいで確信部のランジっぽい距離だしムーブに成功する。イケたと思ったところで、指の感触が急激になくなっていった。外岩で長めの課題をやるとたまーにこの感覚に襲われる。ホールドを持ててるんだけど、持ててる感触がない。だからムーブを起こせる気がしない。そんな状態に頭がパニくっている間に、カチ持ちしていた左手がすっぽ抜け不意落ち。


そのトライでだいぶ消耗した。そもそも下部のポッケで結構保持力が吸われるので、繋げトライの度に疲労が溜まる。なんかいやな感じだなと思いつつ、レストを30分ほどいれる。とりあえずお得意のアルフォートやらパンやらを食べて時間を潰す。30分後、繋げトライ3便目。


このトライで登れた。結構、あっさり。リップをとるあたりでは力んだけど、「あら、登れたわ」という感じ。嬉しいという感情もありながら、「おー、登れた、登れた。よかったよかった。」という何というか安堵の感じ。「シビれたぁ」という感覚があったというより、何ちゅうか多少頑張って勉強を続けてきた試験とかに合格した際の感覚に近いような近くないような。「おぉ、受かってた。落ちなくてよかったー。」ていう感じ(謎)。



当時はそんな感覚だったけど、半年近く経つ今、振り返ってみるとカイエンは自分に自信を与えてくれた課題の代表格になっている。クライミングを始めてから8年近く経つけど、かなーり遅咲きながら、この課題で初の3段が登れたことになる。もちろんグレードを更新できたという意義もある。ただ、それにもましてカイエンのホールドとムーブの多彩さ、持久力的な要素等々、総合的に難しいこの課題を登れたことが、「自分のやってきたことは悪くなかった」という思いを抱かせてくれているような気がする。


ということで自粛前にやや無謀に訪問した鳳来でカイエンを登りきり、その直後に晴々と自粛期間を迎えることになる。自粛期間中の話は次回ブログにて。


0 件のコメント:

コメントを投稿

鳳来でコカ day2 12/10

かすかな希望を携えてコカday2。 有給での鳳来なもんだから誰もいない。 人間という生命体が自分1人だけの自然な空間でコカをひたすらバラしていた。 全てのバラしは完了したもんだからつなげてみる。繋がる可能性はまだ微塵にも感じない。でも絶望も感じていない。 多分、そのうちいける...